学会概要

理事長挨拶

日本老年学会 理事長
荒井 秀典

荒井 秀典  ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
 令和元年6月より日本老年学会理事長を拝命しました荒井秀典です。
 日本老年学会は1959年に日本老年医学会と日本老年社会科学会とが合同して設立されましたが、現在では日本基礎老化学会、日本老年歯科医学会、日本老年精神医学会、日本ケアマネジメント学会、日本老年看護学会の加盟により7学会で構成されています。本学会は国内においては老年学研究者の交流を増やすとともに社会に対する老年学の啓発を行い、対外的にはわが国の老年学を代表する重要な組織です。2年に1回行われている日本老年学会は1万人以上の参加者を誇り、この分野の研究者数の増加を示すだけではなく、学会で発表される研究の質も明らかに向上しています。このような状況のもと、当学会は2023年の国際老年学会(IAGG)アジアオセアニア大会、2029年のIAGG総会の招致に向けて活動を始めました。これら2つの国際学会の招致を成功させるべく、会員一丸となって取り組んでいきたいと思います。

 我が国において2018年には高齢化率が28%を超えましたが、これからは75歳以上の高齢者のみが増加し、2040年には国民の約4人に一人が75歳以上となることが予想されています。このような未曾有の高齢化が進む中、老年学の重要性がますます高まっており、本学会の責務がますます大きくなってくることは間違いありません。高齢者の問題は一つの学問領域だけでは解決できないことも多く、わが国が超高齢社会となった今、日本老年学会の学際的な活動の重要性はますます高まっていると言えます。今後は臨床的、社会的研究とともに基礎研究についても充実を図っていく必要があると考えております。
 学会の主要な活動には以下があります。

 第一に、老年学の普及・啓発を図る活動です。先人の努力を引き継ぎ、社会的な知名度を高めつつある老年学を重要なものとして社会から認識していただくよう努めます。そのために、2年ごとに開催されている日本老年学会総会は老年学の研究成果を社会にアピールする場として重要です。総会の企画をさらに魅力あるものとし、老年学の有用性を社会に訴えます。

 第二に、高齢者の諸問題について社会に対する提言を行います。「認知症末期患者に対する人工的な栄養・水分補給法の導入・差し控え・中止に関するガイドライン」は2012年に老年医学会のガイドラインとして結実しましたが、老年社会学会、老年看護学会のメンバーも加わり、日本老年学会としての重要な成果といえます。また、2013年9月には老年医学会とともに、学際的な「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ」を立ち上げ、その検討結果を2017年3月に最終報告書として公表しました。その中で75歳以上を高齢者と定義するという提言の内容は社会的に大きな注目を集めました。令和元年6月に日本老年医学会より「ACP推進に関する提言」が出されましたが、この提言を日本老年学会として支援し、継続的に普及活動を行っていきます。このように、日本老年学会の学際的な特長を生かした活動を継続します。

 第三に、国内の関連学会との連携強化です。他学会との間で合同シンポジウムなどの企画を増やし、本学会の認知度を上げるとともに各分野における老年学の重要性を啓発していきます。

 最後に国際的な活動をさらに進めることも重要です。わが国は高齢化最先進国として全世界から注目されており、特にアジア諸国からのわが国の老年学に対する期待は高まっております。国際学会の招致をはじめ、世界の老年学におけるわが国の役割をさらに高めるべく活動を強化します。

 老年学および関連領域の研究者、実践者の皆さんが本学会の活動に関心を持ち、本学会を盛り上げていただけるよう心から願っております。